日本全国、ミドリムシを探せ! Part.1「みんなのミドリムシプロジェクト」ってなに?

この記事は5で読めます

株式会社ユーグレナの提案で設置した、ONE TEAM バトンゾーンで活動中の「微細藻類生産制御技術研究チーム」。
チームのTwitter(riken_algaetech)を見てみると「みんなのミドリムシプロジェクト」という何やら気になるワードを発見!

「みんなのミドリムシ」ってなに? どんなプロジェクトなの?
そんな疑問をチームリーダーの鈴木健吾さんにお伺いしました。

このプロジェクトが気になる方、研究者を目指している方、是非読んでみてくださいね。

鈴木チームリーダーがミドリムシを採取している様子

–プロフィール Profile –

鈴木 健吾 SUZUKI Kengo, D.Agr.
理研BZP 微細藻類生産制御技術研究チーム チームリーダー
(株式会社ユーグレナ 執行役員 研究開発担当

―ミドリムシを使った商品をTVや薬局なんかで見かけることもあるのですが、どんな生き物なのですか? 中学校の理科の授業で見たような記憶はあるのですが‥

「ムシ」とついているので「昆虫」のようなイメージがあるかもしれませんが、どちらかというと、ワカメやコンブなど「藻 (も) 」の仲間です。 植物のように光合成をするのと同時に、動物のように動き回ることもできる不思議な生き物です。
水の中で生活していて、サイズは小さく、顕微鏡の下でしか見ることはできません。

ミドリムシが泳ぐ様子

―鈴木さん、「みんなのミドリムシプロジェクト」というものをTwitterで見かけたのですが、このミドリムシを使ったプロジェクトなのですか?

はい、「みんなのミドリムシプロジェクト」-略して「みんみど」は2019年度からチームで始めた、全国の皆さんと一緒に作りあげる一大ミドリムシプロジェクトです!
全国の皆さんに協力して頂いてミドリムシを集め、ミドリムシマップを作ります。

―全国の皆さんに協力頂くから「みんなのミドリムシ」ですね!
 ‥でも、そもそもミドリムシってそんなに色々な種類がいるのですか?

ミドリムシっていうと1種類のような気もしますよね。実は広い意味での仲間としては約800種類のミドリムシがいると言われています。

私も研究をしている中でいろんな特徴を持ったミドリムシに出会いました。

例えば、油をたくさん蓄えるミドリムシや、栄養素の高いミドリムシ、通常は真水に生息するのに海水が混じったところでしか育たないミドリムシ‥本当に様々な種類のミドリムシに出会いました。

―今まで出会ったミドリムシの中で、イチオシのミドリムシはいますか?

どのミドリムシを観察していても面白いのですが、1つ面白いことがありました。
寒い地域で集めたミドリムシ、それならば当然寒い環境でしか育たないと思いますよね。でも、むしろ温かい環境の方がよく育つことが観察できたのです。

このように「きっとこうだろう」という思い込みを外して、基本に立ち返って観察することで、色々な可能性が生まれることを改めて思い知りました。もっとたくさんのミドリムシを知れば、ミドリムシの可能性は更に広がるのではないか、そこで思いついたのが、全国の皆さんの力をお借りすることでした。

―それが「みんみど」ですね?

はい。出張や旅行に行く度にミドリムシを探してはいたのですが、どうしても限界があります。
また今はCOVID-19の流行の影響もあって、そもそも移動がむずかしくなっています。

でも、もしかしたらある地域にしかいない、まだ我々も知らないような「ご当地ミドリムシ」がいるかもしれません。

―こんなミドリムシがいるといいな、というものはありますか?

産業で利用するためには「増えやすいもの」が見つかると嬉しいですが、どこにどんなミドリムシがいるのか、ということを知れることがとても楽しみです。
皆さんから集めたミドリムシは、理研のチームで解析します。皆さんの力で得られた知見をもとに、どうしたら大量に増やせるか、バイオ燃料の生産に使えるか、といったことを日々研究していきます。

―ということは、みんみどに参加すれば、自分の見つけたミドリムシが社会の役に立つチャンスがあるということですか?

その通りですが、自分の集めたミドリムシがバイオ燃料の生産に使われなくても「ハズレじゃん」なんて思わないでくださいね(笑)

先ほどもお話しましたが、「どんなところに、どんなミドリムシがいるのか」ということが分かることは、とても価値のあることです。 実際の研究でも、集めたものがすぐに使える、ということはあまりなくて、知識の積み重ねが自然を理解することにつながると思います。

みんみどでは、皆さんにミドリムシを集めるということを通して、「研究する」という体験をしてもらえれば、と思って始めたのですが‥少し長くなりそうなので続きは今度にしましょうか(笑)

―「研究する」って言われると何だか大役のような気がしてきました!
 鈴木さん、ありがとうございました!次回もよろしくお願いします!!

▷つづきは、こちらから!


イベント情報


みんみどは2020年10月10日~11月4日まで、「空想ミドリムシ図鑑を作ろう!」というイベントを行っています。
こちらはどなたでも参加してもらえるイベントになっています。

皆さまのご参加をお待ちしております!

  • 「空想ミドリムシ図鑑を作ろう!」についてもっと知りたい方はこちら

タグ一覧

Related articles関連記事

Ranking人気記事トップ5

  1. No.1
    2020.10.01

    科学が切り開く新しいワクチン

    パンデミックを防ぐ仕組みを目指して

  2. No.2
    2020.10.30

    日本全国、ミドリムシを探せ! Part.1

    「みんなのミドリムシプロジェクト」ってなに?

  3. No.3
    2020.10.19

    未来の子供たちに青い空を

    水素エネルギーが開く未来の可能性

  4. No.4
    2021.01.29

    「得意」より「大事」を大切に

    世界に影響を与えた創薬研究

  5. No.5
    2021.07.07

    持続可能な社会を目指して

    長い時間を積み重ねてきたバイオ生産の技術