環境に配慮したハダニ用農薬

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理研BZP・有本特別研究室(2020年3月まで設置)の有本裕さんの研究をご紹介します。

研究のポイント

  •  野菜・果実・花などの農作物に被害を出すハダニ用の農薬開発
  •  農作物に移動させないことで被害を防ぐ環境に配慮したアプローチ
  •  安全・安心を目指して食物添加物を主成分にした農薬


コンセプト

害虫は植物に寄生して増殖し、密度が高くなりすぎると新しい植物をもとめて移動します。今回の農薬研究では、害虫の中でもさまざまな農作物の葉に寄生して被害を起こすハダニが新しい植物に移動するときに害虫から選ばれないようにすることを目指します。

重要なポイントは、ハダニが「逃げていく」のではなく、「移動してこない」ことです。
逃げるように仕向けるのは困難でした。そこで守りたい植物にそもそも移動させない(=ハダニに移動先として選択させない)ことに着眼し、研究開発を進めてきました。

研究の状況

現在の研究の様子をご紹介します。
今回の農薬成分の効果を調べるため、インゲン苗を数珠つなぎにして一端の苗にハダニの生育している葉をつないで葉を伝わって隣の苗に行く様子を観察しました。
その結果、何も処理していない苗では第10葉(写真のN10)までハダニは移動していました。しかし、今回の農薬候補をしっかりと処理した第4葉(写真のT4)から先には移動せず、ハダニの移動範囲を第3葉(写真のT3)まで抑制できました。

インゲン苗に数珠つなぎにして10枚の葉を並べたっものを2つ用意し、農薬候補の効果を検証した様子

この結果から新しい効果をもつ農薬として今後の実用化が期待されます。
詳細を知りたい方はこちらのレポートもご覧ください。

なお、この他にもスギ花粉の飛散の量を少なくする農薬も開発中です。
こちらも含めて今後の進展にもご期待ください。

<本件のお問い合わせ先>
理研鼎業・担当 渡辺(watanabe.eijiro[at]innovation-riken.jp)
※[at]は@に置き換えてください。

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