理研BZP・水素エネルギーストレージ技術研究チームでは水素エネルギーの普及を目指した研究に取り組んでいます。
今回はその研究現場の最新の様子を少しご紹介します。
紹介内容
- 水素を効率的に貯めるための材料を研究開発中
- 新材料の特性評価を効率化し、水素社会の実現に向けて加速
研究コンセプト
水素エネルギーが普及した未来社会「水素社会」に向けて日本でもさまざまな取り組みが進められていますが、重要な課題の一つに「水素を効率的に貯める技術の開発」があります。
理研BZPの水素エネルギーストレージ技術研究チームでは、その課題の解決に向けて水素を効率的に貯めることができる微細な穴(細孔)をもつ材料を新しく開発しています。
そのような材料が実用化されると、いまより水素をもっと便利に使うことができ、水素社会の実現に近づきます。
研究の状況
研究の状況について、副チームリーダーの宮島さんに紹介してもらいました。
「水素を効率的にたくさん貯めるための新しい材料をいろいろ作っていますが、まず試験的に作るステップと、そこで特性が良いものが出てきたら大量生産する方法を検討するステップの二つがあります。
チームの中での分担として、私たちは最初のステップを担当し、合成した材料の特性を評価しています。
まだ試験段階ですから合成の過程では不純物が混ざっています。将来的には不純物がほとんどない合成条件に仕上げますが、ここで問題になるのは、不純物が多いと最初のステップで特性を正確に見極めることが難しくなってくるということです。
試験段階ですからまずいろいろな材料を合成して試すことが重要なので、一つ一つに不純物を少なくする合成方法を検討する時間をかけることができません。本当に特性がいいものが見つかったときに不純物を少なくする方法を検討すればいいので、まずは合成した材料が良いものかどうかを判断できることが重要です。
試験的に合成した材料に不純物が入っていたら、私たちの手で直接取り除いて性能を評価していたのですが、細かな作業ですから時間もかかりますし、コロナ禍で出勤を控えないといけないとなると、研究がなかなか進みませんでした。」
今回、バトンゾーン研究推進プログラムでは最先端のマニピュレーターの導入することを支援しました。宮島さんに導入後の様子をお聞きしました。
「手で直接取り除いていたころに比べ、細かな作業が一段とスムーズに進められ、不純物を効率良く除けるようになりました。遠隔操作もできるので、新しい材料を作って評価するスピードもかなり上がりました。つくった材料の中で良い結果もでてきているので、成果としてそろそろ発表できる段階にも入ってきました。」
バトンゾーン研究推進プログラムでは、水素エネルギーストレージ技術研究チームと共に水素社会の実現に向けてこれからも研究を加速していきます。
今後の進展にご期待ください。