2021年1月15日、「第二回中高生のためのオンライン特別授業~最近話題のあの技術この技術~」にてBZP人工ワクチン研究チームの増田健一チームリーダーが「科学の力で生まれた新しいワクチン技術」というタイトルで授業を行いました。
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▷授業の様子はこちらからアーカイブ公開しています(増田健一チームリーダーの授業は「1:15:52-」)
獣医師でもある増田健一チームリーダーは獣医学の視点から、新しい感染症の多くは動物も人間も感染すると言われていることを冒頭に説明し、ウイルス感染とワクチンの関係を色々なものに例えながら解説しました。
その後ワクチンの作り方やワクチンと変異ウイルスの関係を説明し、増田チームリーダーが研究中の新しいワクチン技術がヒトと動物共通に使えて変異に左右されないことを紹介しました。
授業当日にお答えしきれなかった質問について、いくつか抜粋して紹介します。
(全部の質問の回答はこちらから)
人間と動物では、ワクチンの効き目や、細胞の強さがどのように違うのでしょうか。
人間と動物の間で免疫細胞の反応が大きく異なることはありません。動物で効果がわかったワクチンであれば、人間にも同じような効き目を期待してよいです。
ワクチンは、インフルエンザの予防接種とは違うものなのでしょうか?また、もしワクチンができなかった場合はどうなると考えられますか?
インフルエンザの予防接種とは、インフルエンザウイルスのワクチンのことです。このワクチンはインフルエンザウイルスによって起こる風邪の症状を防ぐ効果を期待できるので、予防的なワクチンの接種、つまり予防接種と呼ばれます。
これまでにワクチンを作ることができなかったウイルスは、例えばエイズウイルスなどいくつかあります。そういうウイルスに対しては、感染しないようにすることが重要です。新型コロナウイルスに対しても我々が現在行っているマスク、手洗い、3密を避けることが重要です。
インフルエンザの理研ワクチンを作って打っておけば、来年も再来年もその数年後も従来のワクチンを打ったときと同様の効果があるのでしょうか。
はい、我々が開発している新型コロナウイルスのワクチンはインフルエンザウイルスにも応用できます。もしインフルエンザウイルスの理研ワクチンが完成すれば(きちんとワクチンとしての効果があることがわかれば)、このワクチンだけを毎年打てばよいことになります。これまでのように今年流行するインフルエンザウイルスの型を予想してその都度新しいインフルエンザワクチンを準備しなくてもよくなります。
増田チームリーダーの研究については、こちらのインタビューや動画でも紹介をしています。
ぜひご覧ください。
- インタビュー「科学が切り開く新しいワクチン~パンデミックを防ぐ仕組みを目指して~」はこちら。
- 動画「新型コロナウイルスとの戦いVol. 2 化学合成ワクチンの開発~変異ウイルスに対応・副作用を回避~」
- 動画(英語)「A new type of vaccine (COVID-19 research, #2)」
- 授業の様子はこちらからすべてをアーカイブ公開しています。
増田チームリーダーのお話以外もぜひご覧ください。
【時間割】カッコ内はタイムスタンプ
1時限目(0:03-):「「富岳」の開発 何が大変だった?」
石川 裕プロジェクトリーダー(計算科学研究センター フラッグシップ2020プロジェクト)
2時限目(26:42-):「農家さんの匠の技を見える化」
市橋 泰範チームリーダー(バイオリソース研究センター 植物-微生物共生研究開発チーム)
3時限目(50:06-):「驚異の発見・発明! ゲノム編集・CRISPR」
隅山 健太チームリーダー(生命機能科学研究センター 高速ゲノム変異マウス作製研究チーム)
4時限目(1:15:52-):「科学の力で生まれた新しいワクチン技術」
増田 健一チームリーダー(バトンゾーン研究推進プログラム 人工ワクチン研究チーム)
5時限目(1:41:34-):「人工衛星:宇宙を活用する技術 」
玉川 徹主任研究員(開拓研究本部 玉川高エネルギー宇宙物理研究室)