新型コロナウイルスの世界的感染拡大は、人命への脅威だけにとどまらず世界経済にも大きな混乱をもたらしました。世界各国でワクチンを中心とした感染予防が進められているものの感染力の高い変異株の出現もあり、コロナ禍終息にはウイルスを直接不活化する手段を併用した複合的なアプローチが不可欠です。本チームでは、次世代半導体材料として注目される窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)による波長220〜230nmの深紫外(Far-UVC)LEDの社会実装をおこなっています。AlGaN系半導体はワイドギャップ半導体で、これまで困難と言われてきた短波長領域での高効率発光実現が可能な発光材料として有望視されています。紫外線は非接触、ノンケミカルで耐性菌を生じることなくウイルスを殺菌(不活化)する特長を持っています。とくに波長220〜230 nmのFar-UVC光は高いウイルス不活化能力に加え人体への安全性が高いことが指摘されており、有人環境下で使用可能なウイルス不活化光源として注目を集めています。このFar-UVC LEDを用いたウイルス不活化装置が実現できれば、ドアノブや机など身近な生活空間からオフィスや電車などの公共空間にいたるまで、社会のさまざまな場所で用いることのできる有力な感染症対策となります。
研究室メンバー紹介
- 飯村 一樹 (チームリーダー)
- 定 昌史 (副チームリーダー)
- 糸数 雄吏 (客員研究員)
- 東海林 良太 (客員研究員)