新型コロナウイルスのような新興人獣共通感染症への対策は全人類における喫緊の課題ですが、このようなウイルスの変異株出現スピードが速く、既存のワクチンの概念ではそれぞれの変異株に応じた適切なワクチンや抗ウイルス薬をその都度開発することは困難です。
また、新型コロナウイルス、エボラ出血熱やデング熱のウイルスのように、既存ワクチン接種による抗体(IgG)賦与はかえって重症化の引き金にもなるため(抗体依存性感染増強)、これらワクチン接種が万人に有益であるとは言えません。
このような状況を打破するために、我々の独自技術による多重抗共通原ペプチド(mMAP)を用いてこれらウイルスに対して有効なワクチンあるいは免疫治療薬の研究開発に取り組んできました。その結果、どのような変異ウイルスが出現しても対応できるワクチン・免疫治療薬プラットフォームを構築しました。
最も具体的な効果として、新型コロナウイルス用多重共通抗原ペプチド(CoV-mMAP)が新型コロナウイルス各種変異株だけでなくコロナウイルス科ウイルス全体に作用する IgM を誘導することで、各種変異ウイルス感染動物の致死率を抑えたことが挙げられます。
我々はこのCoV-mMAP 研究で得たデータを元にして、本技術を他のウイルス(高病原性鳥インフルエンザウイルス、ジカ熱ウイルス、デング熱ウイルスなど)に対するワクチン・免疫治療薬開発へと展開する予定です。また、これらパンデミックウイルスが人獣共通感染症である点も考慮し、動物実験データを有効に活用することによって動物用(ペットおよび家畜用)ワクチン・免疫治療薬へ導出できるように科学的根拠を固めます。将来的には、動物における感染拡大も阻止できるワクチンを開発してまいります。
研究室メンバー紹介
- 増田 健一 (チームリーダー)
- 大野 博司 (副チームリーダー)
- 久保 允人 (副チームリーダー)
- 齊藤 隆 (客員主管研究員)
- 奈良 拓也 (客員技師)
- 村上 雄大 (客員技師)
- 松村 佳奈 (客員技師)
お問合せ先
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